ラクトパミンについて
ラクトパミンとは?
動物用医薬品。牛や豚などの肥育促進を目的に使用される。
アンチドーピングの観点から
2023年禁止表に掲載された
S1 蛋白同化薬
S1.2 その他の蛋白同化薬
主要な変更の要約と注釈
2023年禁止表国際基準(日本語/英語 併記)
「ラクトパミンは、一部の国で動物用成長促進物質として承認されているベータアドレナリン作動薬であるので、S1.2 の例示物質として加えた」
日本では使用されているのか?
日本国内では、動物用医薬品として承認されていない
https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/siryo/hiiku.html
世界での使用状況は?
CODEX https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/home/en/
コーデックスとは、消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保等を目的として、1963年にFAO及びWHOにより設置された国際的な政府間機関で、国際食品規格の策定等を行っている。日本は1966年から加盟。
Information sheet (codex) https://www.fao.org/fileadmin/user_upload/agns/pdf/Ractopamine_info_sheet_Codex-JECFA_rev_26April2012__2_.pdf
MRLs(最大残留基準値)
牛
腎臓:90 μg/kg (2012年)
筋肉:10 μg/kg (2012年)
脂肪:10 μg/kg (2012年)
肝臓:40 μg/kg (2012年)
豚
腎臓:90 μg/kg (2012年)
筋肉:10 μg/kg (2012年)
肝臓:40 μg/kg (2012年)
脂肪:10 μg/kg (2012年)(脂肪と皮膚を含む)
ADI(1日許容摂取量)0-1 μg/kg bw
ADI とは、食品の生産過程で意図的に使用するもの(残留農薬、食品添加物等)について、 ヒトがある物質を一生涯にわたって毎日摂取し続けても、健康への悪影響がない と推定される一日当たりの摂取量のこと。体重1 kg当たりの物質の摂取量で示される(mg/kg体重/日)
「食品の安全性に関する用語集」(第5.1版)、食品安全委員会
NOEL(無影響量)67 μg/kg
NOEL とは、ある物質について、何段階かの異なる投与量を用いて行われた反復毒性試験、生殖発生毒性試験等の毒性試験において、生物学的な影響を示さなかった最大投与量のこと。
「食品の安全性に関する用語集」(第5.1版)、食品安全委員会
体重 60 kg の人が、1日あたり 0-60 μg のラクトパミンを毎日摂取し続けても、健康への悪影響はない、と推定される。
牛肉の中に、MRLs 相当のラクトパミンが含まれている場合、60 μg のラクトパミン=6 kg の牛肉。
→体重 60 kg の人が、1日あたり 6 kg の牛肉を、一生涯にわたって毎日食べ続けた場合、ラクトパミンの摂取量に関してだけでいうと、ラクトパミンの健康への悪影響はない、と推定される。
世界では使用されているのか?
飼料への添加が許可されている国 (2012年)
〔牛〕米国、カナダ、メキシコ、インドネシア
〔七面鳥〕米国、カナダ
〔豚〕
https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu03560430365
1)米州17か国(地域):米国、カナダ、メキシコ、ボリビア、ブラジル、パナマ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ、グアテマラ、エクアドル共和国、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア共和国、ペルー、ベネズエラ共和国、バルバドス。
2)アジア太平洋地域8か国(地域):豪州、ニュージーランド、インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイ、韓国、香港。
3)アフリカ1か国:南アフリカ
アンチドーピングと食肉汚染について、どう考えたら良いか?
WADA の指針(JADA が日本語を公開している)を参考にする!!
食肉汚染と利尿薬のコンタミネーションの可能性に対するWADA最低分析報告濃度の設定